一級品ボタン剣ボタン剣の花絵の卓越性につきましては、婆がここで述べずとも、この品にお目が留まった方(願わくば方々)には自明のことでありましょう。この小さな蓋の上には、名工が技術の粋と感性の響きをもって作り上げて後、百数十年を経てもなお古今東西の愛好者を惹き付ける小さな宇宙が広がっています。こういった丸味を帯びた蓋物でナリが小さいということは、当然フラットな面が少ないということであり、その丸味を帯びた面に題材をどのように配置し、どの位の大きさで描くかというのが当初の課題となってまいります。それは「バランスを取る」、つまりマイセンが定めるところの厳格な規格や様式に沿うということですが、これが中々に難しく、その上さらに花絵は素晴らしくなくてはいけません故、ここぞという時の為に選ばれしペインターの出番と相成ります。作業中はもっぱら手で支えて描く時間が多いことでしょうが、途中うっかり手を滑らしたりグラついたりしたら最後、今までの苦労は水泡と化します。そうした数々の労苦を乗り越え晴れて日の目を見た一級品の品達も運悪く私のような粗忽者に買われた日にゃ嫁ぎ先に着いてふ~ぅやれやれと思う間も無くいざお披露目という段で「ガチャッ、アッ!」という身も蓋も無い事が起こり得ますのでこうして無事な姿で皆様に御覧頂けることが奇跡のように感じられる今日この頃でございます。多少の傷や蓋に色飛び(か汚れ)がありますが、ヒビや欠けは無く、金彩金縁に薄れも見えません。ご検討頂けましたら幸いです。(御参考)直径:約 8.8 cm高さ:約 6.0 cm
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